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注文方法による生産形態の分類

  • 執筆者の写真: 山田 修司
    山田 修司
  • 2018年3月15日
  • 読了時間: 4分

更新日:2018年4月8日

生産形態とは、与えられた市場、経営、技術などの環境条件の元で生産を行うための形態のことです。ようは、作り方のスタイルですね。


まず、注文方式の時点で、受注生産と見込み生産の2種類に分類することができます。


受注生産は、顧客が定めた製品を生産する形態です。いわゆるオーダーメイド品です。

店舗には製品在庫を持たないことを大前提として、顧客からの注文を受けてから生産や設計に取り掛かります。受注生産は、多品種少量生産に向いており、希少性が高い、あるいは類似性の低い製品を生産するときにはよく利用される形態です。


見込み生産は、生産者が市場の需要を見越した製品を、企画・設計して製品を生産して商流に乗せる形態です。いわゆる、既製品や量産品と呼ばれるような製品を作るときの生産方式です。見込み生産では、顧客は用意されている在庫の中から自分に合ったものを選んで買うことが大前提です。なので、小売の店舗であれば、必要十分な在庫品を備えておく必要があります。小品種多量生産に向いており、希少性が低く、類似性の高い製品を小品種に限定して生産する形態です。


受注生産と見込み生産のどちらにするかという分岐点のことを、デカップリングポイントと言います。受注生産ならば部品の仕掛り在庫を上流工程で抱えておき、注文があったときすぐに部品の仕掛り在庫を組み立てて納期に間に合うように製品を作ります。受注生産とはいえ、受注のたびに一つ一つの部品を部品メーカーから取り寄せていては、納期はずいぶんと長くなってしまいます。(仕掛り在庫の量を減らすことはできますが。)

製品に使う部品が希少品ならば、部品メーカー側に常に製品在庫があるとも限りません。なので、一定数の部品の在庫や仕掛り品を在庫しておく必要があります。


見込み生産ならば、仕掛り在庫のほかに組み立て済みの製品在庫を持ちます。生産計画を立てて、需要量に基づいて製品を生産していきますが、機械の故障などで計画どおりに製品を生産できないこともあります。そういうときに、生産が再開されるまでの間に製品の出荷を継続するための組み立て済み製品を、製品在庫として倉庫に持っておきます。


財務上の都合だけで言うと、製品在庫をなるべく無くして、なるべく上流に部品の在庫や仕掛り在庫だけを持っておくのが理想です。製品を出荷したいのに製品がないというような機会損失を避けるならば製品在庫が必要です。部品在庫や仕掛り在庫をなるべく持たなくてもよいのであれば受注生産方式、常に製品在庫は必要であるということならば見込み生産方式が採用されます。


受注生産と見込み生産の分岐点(デカップリングポイント)は、在庫をどこまで持つかという意味でも分岐点となります。注文してからはじめて設計に入るのか(個別受注生産)、既に設計済みのものを注文を受けてから製造して組立するのか(繰り返し受注生産)、製造済みのものを注文を受けてから組立して出荷するのか(受注組立生産)、組立済みのものを注文を受けて出荷するのか(見込み生産)、それぞれの生産方式によって必要となる部品在庫や仕掛り在庫、製品在庫の量はまったく異なります。そして重点的に管理しなければならないポイントが異なってきます。


最適な生産形態と在庫、重点的な管理ポイントにズレが生じると、現場もチグハグなことになってしまい、うまく回らないことになってしまいがちです。製品を作りたいのに在庫が無いとか、いますぐ出荷しないといけないのに製品在庫が無いというトラブルが頻繁におきるような現場になってしまいます。



この記事では最も流れがはっきりしている製造業をベースにしていますが、これらの考え方はどのような業態にも応用することができます。どのように人を配置するかという考え方でも重要な考え方になってきますし、組織の生産性を決定する全体のスループットの考え方とも関連しています。


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