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マーケティングの定義

  • 執筆者の写真: 山田 修司
    山田 修司
  • 2018年5月12日
  • 読了時間: 4分

「マーケティングとは何か?」と人に聞くと、10人に尋ねたら10人ともバラバラの答えを返すかもしれません。売上を高める活動、プロモーション活動、欲求を刺激する活動、ブランドをアピールする活動という回答が多いのかなと思います。


AMA(アメリカ・マーケティング協会)が制定したマーケティング定義というものがありますが、そこで制定されたマーケティングの定義も変遷しています。


1985年の定義によると、「マーケティングとは、個人目標および組織目標を満たす交換を創造するためのアイデア・商品・サービスのコンセプト、価格設定、プロモーション、流通の計画と実行のプロセス。」として定義されていました。


教科書的に言うならば、顧客が存在する「標的市場」を選択して、マーケティング・ミックスの代表的な4Pとされる「Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販売促進)」を計画・実行していくという考え方です。


2004年になると、「マーケティングとは、組織およびステークホルダー(利害関係者)、さらに顧客にとって価値を創造・伝達・提供し、顧客との関係性を管理していくための組織的活動のプロセスである。」という定義に変更されました。


対象範囲として、企業内部の利害関係者(ステークホルダー)が含まれるようになり、アイデア・商品・サービスではなく総合的な価値(Value)を届ける。さらに顧客との関係性を管理していく枠組みまでが定義に含まれるようになりました。価値を届けるというのはブランドを届けるというニュアンスが近いです。


直接的にアイデア・商品・サービスという機能をアピールしていくだけではなく、ブランドとしての総合品質やビジョンやコンセプトにもこだわりを持って、顧客との関係性を築き上げていくというような考え方です。


しかし、1985年と2004年の定義は、マーケティングそのものを表現する定義というより、「マーケティング・マネジメント」を定義しているような内容で、かつ対象範囲も選択的で硬直的な側面がありました。


そこで、2007年になると、今度は対象範囲が広く社会全体に拡大され、「マーケティングとは、顧客やクライアント、パートナーさらには広く社会一般にとって価値のあるオファーリングを伝達、交換するための活動と、それらに関わる組織的プロセス。」というふうに定義し直されました。


企業にとって本来あるべき価値、常に変化していく社会の中でエコシステムを支える活動を長期持続的に担っていくこと、企業として透明度の高い情報発信、社会貢献をしていくことが打ち出されるようになりました。


製品やサービスの企画だと、1985年や2004年の定義の範囲を重点的に学ぶ機会が多いかもしれませんが、現実における広報宣伝という視点になってくるとより広く受け入れられる2007年の定義のほうを押さえておいたほうがよいでしょう。


また、こうした視点の違いを頭の隅に置いた上で様々な企業が集まる展覧会などを歩いてみると、「この企業のマーケティングはすごく工夫していて面白いなー」とか、「この企業は機能や商品ばっかり前面に打ち出していて商売っ気が強すぎるな・・・」とか、展示会の見方や楽しみ方が一つ増えるかもしれません。


機能や商品をマーケティングすると、どうしても一発屋のような形で終わりがちです。一時的には瞬間最大風速的に大きな反響を得られると思います。特に15秒くらいしかないテレビCMとか、Twitterでの「つぶやき」だったらそれでも良いかもしれません。


ですが、社会を支えていく、社会を変えていく、環境に配慮しながら変化するライフスタイルや合わせていくという面でも、会社としての面白みや工夫を伝えていかないと、商品に飽きられたらすぐに関係を打ち切られてしまうかもしれません。


マーケティングもコミュニケーションの一環です。強み・弱み、ふだんはどういうふうに仕事をしているのか、これまで経験した中で辛かったこと、それをどうやって克服したか、どのように役に立つのか、こういうことがあったらどう対応しますか?この業界で何を実現したいか?ボランティア経験は?というふうにインタビュー(面接)を受けているつもりでプロモーションできると良いと思います。




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