「ELM(精緻化見込みモデル)」では、消費者が意思決定をする際の道筋には、「中心的ルート」「周辺的ルート」の2通りのルートが存在し、十分な動機・能力・機会のすべてを有しているときに「中心的ルート」を通り、動機・能力・機会のいずれかが欠けているときには「周辺的ルート」を通るとされています。
「中心的ルート」では、態度の形成と変容は十分な考察を伴います。消費者は製品が有する機能などを徹底的に調査してから購入に向かいます。
しかし、「周辺的ルート」では、態度の形成と変容はあまり深い考察は伴わず、肯定的または否定的な周辺的手がかりによって決定されます。例えば、有名人による推奨・信頼性のある情報源・肯定的感情を伴う出来事によって決定されることになります。この場合、雰囲気や面白さといったところが重視されます。
一般的には、日常的な買い物の場面で考察に時間をかけることはさほど多くはなく、単純に「価格」や「ブランド」や「見た目」によって、非計画的に購買が決定されるケースも多いです。
さらに、金銭面である程度の余裕が出てくると、多少の価格差異のことは気にせずに「とりあえず、気に入ったもの」を購入可能な機会が増え、隣町のスーパーまで10円のもやしを買いに行くというような動機は薄れますから、必ずしも「価格」で計画的に購買が決定されるということもありません。
とはいえ、「中心的ルート」のみをカバーして、「周辺的ルート」を一切カバーしないならば、本当に知っている人しか買わないということになってしまいますし、「周辺的ルート」のみをカバーして、「中心的ルート」を一切カバーしないならば、一時的に流行するだけでリピーターは0という結果に陥ってしまいます。
マーケティングを考えていく上では、「中心的ルート」と「周辺的ルート」の両方をカバーするアプローチをしていくことが効果的であるとされています。