リーダーシップ論の体系
- 山田 修司
- 2018年5月15日
- 読了時間: 3分
一口に「リーダーシップ」といっても、理想のリーダーシップには様々な考え方や属性がありますが、総じて「対人的な関係に関する能力である」とされています。
昔は、「リーダーシップとは、人間に元々備わっている能力や資質がある。」というふうに、リーダーになる人には、リーダーにはなれない人とは異なるパーソナリティ属性を持っているものであるとされてきました。例えば、人々からリーダーと認められる人は、背が高い、声が大きい、年齢が高いといった共通した特徴を持っていたことが、「特性理論」による研究結果によって判明したためです。
その後、「行動理論」による研究では、リーダーシップは才能ではなく、個人が後天的に学習などで身に付けることができる能力であるという理論が主流になってきました。これは、メンバーや組織をマネジメントしていく能力を体形的に習得することで、リーダーシップを発揮することは可能であるという考え方です。
さらに研究が進むと、「コンティンジェンシー理論」が登場し、リーダーシップというものは画一的なものや形式的なものではなく、組織が直面している状況によって最適なリーダーシップはまったく異なるものであるという考え方にシフトしてきました。具体的には、環境が安定的であるか・不安定であるか、バランスが取れている状況であるかといった要素や、組織の成熟度の度合いによって、成果を出しやすいリーダーシップは異なるという考え方です。
そして、現代においては、再び個人のパーソナリティー属性や才能が見直され、人々のカリスマとなれるリーダーは限られており、カリスマ的リーダーは自己犠牲を厭わず、組織や状況に関わらず、大きなビジョンに向けて、人々を既存の秩序を超えたところに誘導する才能を発揮するものであるという「新・特性理論」による考え方が主流です。
タイトルに「リーダーシップ」と付くような本をいくつか見てみるとわかるように、どの本でも書いていることはまったくバラバラです(笑)
リーダーには4つのスキルが必要であると描いてある本もあれば、7つの習慣や、8つの特性を備えているものだとしている考え方もあります。多いものだと30個や100個のスキルが必要であると指南されているようなものもありますが、そこまでいくとスーパーマンですね。
品行方正であるとか、民主的である、冷静沈着である、謙虚である、慎重かつ大胆であるなどなど、それらしいリーダーの特徴を書き出そうと思えば、たくさん書き出すことはできます。しかし、果たしてスティーブ・ジョブスが品行方正で民主的で冷静沈着で謙虚で慎重かつ大胆なスーパーマンだったかと言われると、まったくそんなイメージはありません(笑)
なので、結局のところ、人類の叡智を結集しても、リーダーシップとはこういうものだという明確な答えはまだ出てきていないのが実際のところです。

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