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ロット生産方式のお話

  • 執筆者の写真: 山田 修司
    山田 修司
  • 2018年4月7日
  • 読了時間: 3分

ロットとは、ひとまとめの有形物のグループであり、同じ品種にまとめた束のことです。

ロット生産という場合は、製品の品種毎に生産量をひとまとめにして、A製品を加工したら、次はB製品・・・というように複数の異なる製品を交互に一つの生産ラインに流して断続的に生産する形態です。





ロット生産の工程では、1つのロットの加工・組立が終わったらすぐに次のロットが到着しますが、次に到着するロットが同じ製品のロットであるとは限りません。

製品が異なるということは、加工・組立に使う部品や工具なども異なりますから、加工・組立の工程では絶え間のない準備作業が発生します。ロットが切り替わるときに発生する準備作業のことを「段取り作業」と呼びます。


個別生産の場合には、「納期のリードタイム」を重点的に管理することが多いですが、断続的な生産を行うロット生産では、ボトルネックになりやすい作業工程の「ものの流れの良さ(スループット)」が重点的に管理されます。そこで、特に「段取り作業をどのように短くするか」というところが重要なポイントとされています。


例えば、1ロットあたりでどれだけの数を生産するのが最も合理的であるかという経済的ロットサイズを考えたり、段取替えの回数と時間の短縮化を試みたり、仕事の投入順序をしっかり管理するであるとか、生産能力と負荷のバラツキを把握して余力を最小化を図ったり、ロットサイズの変動を回避するための数量統制を強化したりします。


ロット生産の工程で特徴的なのは、1つの工程で多くの種類の製品に対応するために、複数の部品や工具を切り替えて作ることを前提とした汎用性の高い設備を備えていることです。


数十年前であれば、そもそもの製品の品種が少なく、少品種を大量生産するだけでも商売として成り立ちましたが、近年では差別化やブランディング、新製品の開発やアップデートサイクルの短縮化、エンドユーザーの様々なライフスタイルへの対応等々の事情もあり、品種は多く、1品種あたりの生産量は少なくなりました。そうした戦略的な要因以外にも、得意先の事情で製品仕様が急遽変更になったりすることもあれば、複数の得意先を抱えていて仕様がそれぞれ異なるという現場レベルでの吸収が求められるケースも多いため、そうした汎用的な設備を配備しています。


とはいえ、至急の仕様変更や納期変更などが発生すると、計画していた生産計画のとおりに製品やロットを生産できなくなるばかりか、準備の段取りの内容まで変わってくることもありますし、そうしてどこかの工程で生産の遅れが発生することで後工程にも予定外の遅れが生じてしまい、本来ならばすべて納期に間に合う予定で組まれていたはずの生産計画の日程はすべて泡となって崩れてしまい、加工・組立に流す製品の優先順序の再計画や中断、計画外のロットの入れ替えが発生して・・・という悪循環な流れにも陥りがちです。


そこまでいくと、得意先まで含めて「コミュニケーション」で解決するしかなくなりますが、そうした観点からも、管理や統制といったところがロット生産では重要になってきます。

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