「モチベーション・リサーチ」以外にも、消費者行動を分析するために様々なモデルが検討されてきました。
「S-R(刺激-反応)モデル」では、消費者の心理は解明できないブラックボックスであるというふうに位置付けされていました。深層心理を解明しようとする「モチベーション・リサーチ」とは対照的ですね。
そして、「S-Rモデル」を改良した「S-O-R(刺激-生活体-反応)モデル」は、それまでブラックボックスと位置付けてきた消費者の心理面を解明しようとしたモデルです。
さて、「刺激」と「反応」の条件付けに関しては、代表的な実験があります。ネズミがボタンを押したときに食べ物を与えると、やがてネズミは自発的にボタンを押すようになるという学習実験です。この種の刺激に対する反応を「道具的条件付け(オペランド条件付け)」と呼びます。
「道具的条件付け(オペランド条件付け)」を現実のマーケティングに当てはめるならば、「○○製菓のキャンディには必ず玩具がおまけで付いてくる」という想起をさせるようなマーケティング方法がわかりやすいと思います。
現実の消費者は、企業のマーケティング手段である製品や広告、あるいは口コミのような刺激を知覚して、場合によってはそうした刺激を自発的に探索し、製品やサービスの良し悪しを判断するような態度を取ります。
そこで、「S-O-Rモデル」の代表とされている「ハワード=シェス・モデル」では、消費者行動と製品ライフサイクルを対応させて、消費者がどのような購買行動をするのかという選択行動を包括的に扱ったモデルを提示しています。
製品ライフサイクルにおける「導入期」には、消費者は「拡大的問題解決行動」を取るとされています。「拡大的問題解決行動」というのは、広範囲に情報を自発的に探索して、意思決定に長く時間をかける行動です。まだ世の中ではさほど有名にはなってはいない製品を、その製品分野に対してある程度の専門知識がある消費者が購入検討するときに起こしやすい行動パターンです。ある程度の専門知識があるからこそ、失敗したくないという衝動が働いて、判断までに時間をかけやすいケースはこれに当てはまります。
製品の成長期では、消費者は「限定的問題解決行動」を取るようになります。製品の内容がある程度は知られるようになってきており、その製品分野でいくかのブランドが確固たるポジションを確立した段階では、消費者は意思決定時間にさほど時間をかけることが無くなります。価格差異は気にせずにブランドの名前で買うという消費者行動が発生しているならば、このパターンが該当します。
製品の成熟・衰退期では、消費者は過去に取得した情報を持っており、実際に購買したことも何回かあるため、購買するときには何も考えずにいつも購入している製品を手に取るようになります。こうした状態のことを「日常的反応行動」と呼びます。
このあたりになってくると、なんとなくみなさんの生活の中でも身に覚えがあると思います笑。最終的には、誰しもがブランドで買おうとするようになってくるのがポイントです。そうしたところから、成長期に達した製品分野ではブランディングが重視されやすくなります。
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